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2010.09.03|desk, 掲載物
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東海大学北方生活研究所 NR+

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東海大学北方生活研究所の所報「NR+」に「北国の小さなテキスタイルメーカーについて」という題で文章を寄稿しました。東海大学北方生活研究所は東海大の旭川校舎に設置された研究所で、北をテーマにさまざまな活動を行っています。 私はこの旭川校舎で学びました。09年7月1日に self  introduction と題して、同大学の伊地知先生とともにお話の会をさせて頂いたことがきっかけで、今回所報に寄稿させてもらいました。1年に1度、所報として出されるのでそれらの多くが前年度にあった活動をまとめたものや寄稿された文章でまとめられています。今までに35冊の所報がまとめられています。北国の生活や文化にまつわることを研究し活動してきた35冊の重みを感じます。昨年はフィンユール邸の実測をまとめた特集もあり、35冊のNR+は北にまつわる興味深い内容にあふれています。下に私が寄稿した文章を掲載します。 真摯に学び研究する人たちと同じ姿勢でありつづけたいとあらためて思いました。以下が寄稿した内容です。

~北国の小さなテキスタイルメーカーについて~

「暮らしが線でつながり年月となって引き継がれていくように」という願いをこめ“点と線模様製作所”は2008年にスタートしました。身近な風景や植物を題材に模様作りを行い、刺繍の図案やファブリックパターンの製作とオリジナルの生地販売を行っています。ソーイングやインテリアの材料として使われる生地を提案したいと考え、暮らしに寄り添える模様作りを目指しています。風景や植物といった目に見えるもの。また冬の寒さや雨の音といった目には見えない題材など、デザインソースとなるものは身の回りにあふれています。スケッチや観察、気づきを大切にしながら思い浮かぶアイディアを描きます。効果的な柄の大きさや方向、色などを調整し図案化していきます。椅子に座り心地があるように、模様は視覚からうける心理的な感覚が使い心地になります。刺激が強すぎる色の組み合わせや構図は、使い方を誤ると気持ちが疲労してしまう原因となります。生活の場で使われる模様は「落ち着いた」「大胆な」など様々な種類がありますが、全てにおいて健康的で使う人や空間を最もよく表現し支えることが大切な要素だと思います。生地の染めは少量を作るのに適した手捺染という方法を使用しています。生地表面に直接色糊を置き、熱処理などを施し模様を染める方法です。長い染め台に生地を貼り、型を置いて位置をずらしながら染めていく方法で、職人の手によって染められています。他に製版所、生地問屋など一反の生地ができるには多くの工程を経ています。出来上がった生地の一部は縫製業者に依頼しバックなどに加工し製品となります。シーズン毎に流行を取り入れた、たくさんの生地が作られています。北海道はテキスタイルを生み出すには産地から遠く非常にハンディがある土地です。しかし、逆に言えば入れ替わりの早いテキスタイル業界から距離があることで、生活を見つめ一緒に年月を過ごしていけるスタンダードな模様ができるのではないかと思っています。昨年からは小さな小さなメーカーとして歩み始めました。まだまだ経験浅く自分の仕事を作っている途中です。様々な人との出会いによって進んでいけることを願っています。  点と線模様製作所  岡理恵子